恋愛偏差値$完
もうあがってもいいって。
そっか。頑固親父は、頑固の裏に優しさも隠してるんだ。
「あ、りがとうございますっ」
と、荷物を持って部室から出ようとしたときに顧問が。
「お前って、伸が好きだからこんなにがんばってんのか。フン。がんばれよ」
「しっ失礼します!」
あたしは顔を赤くして、先に出ていった伸先輩のとなりにならんだ。
「?お前なんでそんなに顔赤くなってるんだ?」
「へっえっ、なんでもないですよ!…?」
スイと伸先輩があたしの左側に移動した。
「車、危ねぇよ。雨上がりだし、水溜りかかると悪いし」
伸先輩のときどきの優しさだから、こんなにきゅんとしちゃうの。
きゅんとさせられるなら、梓先輩の笑顔よりも上。
「ありがとうございます…」
この優しさもからかう瞳も頭をなでる大きな手も好き……
部内恋愛禁止がなくなってよかった。