恋愛偏差値$完


理香はキラキラした目で伸先輩を見る。


「ちょ、ちょっと待って。だって、伸先輩たちだってちゃんと目的があって来てるんだから。邪魔するわけにはいかないって。理香が帰るなら、あたしも帰る」


「俺の服、ちゃんと決まりましたよ」


って、梓先輩。



「じゃぁー柚菜のことお願いしますっ」



それだけ言って、あたしにサヨナラも言わずに理香は帰った。



「…は」


梓先輩はよけいな一言が多いのよっ!



「行きましょうか」



梓先輩は考えて言ってるのかしら。


にっこりと微笑んだ。



伸先輩はあきれたようにため息をついた。



その二人に隠れてあたしは財布の中身を見た。


千円、ぽっきり。



なにも買わないつもりだったから、少なめのお金しか持ってこなかった。



ちゃんとわかってたら、持ってきたのに!



近くにある、映画館でチケットを買った。



これでもうなにも買えない。



映画を見たらすぐに帰ろう。


< 207 / 371 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop