恋愛偏差値$完
理香はキラキラした目で伸先輩を見る。
「ちょ、ちょっと待って。だって、伸先輩たちだってちゃんと目的があって来てるんだから。邪魔するわけにはいかないって。理香が帰るなら、あたしも帰る」
「俺の服、ちゃんと決まりましたよ」
って、梓先輩。
「じゃぁー柚菜のことお願いしますっ」
それだけ言って、あたしにサヨナラも言わずに理香は帰った。
「…は」
梓先輩はよけいな一言が多いのよっ!
「行きましょうか」
梓先輩は考えて言ってるのかしら。
にっこりと微笑んだ。
伸先輩はあきれたようにため息をついた。
その二人に隠れてあたしは財布の中身を見た。
千円、ぽっきり。
なにも買わないつもりだったから、少なめのお金しか持ってこなかった。
ちゃんとわかってたら、持ってきたのに!
近くにある、映画館でチケットを買った。
これでもうなにも買えない。
映画を見たらすぐに帰ろう。