恋愛偏差値$完
伸先輩といっしょの行動、伸先輩の私服はおしいけど、お金がないもん。
梓先輩は先にチケット買っちゃって、伸先輩の後ろに並んでいたのはあたし。
チケットを買う順番が回ってきて、お財布の準備をしていたのに。
「二枚」
伸先輩がチケットを二枚買った。
ちょっと、と伸先輩の横で抗議の声をあげる。
「チケットちゃんと自分で買いますってば」
伸先輩の手の中の二枚のチケットを見て言う。
「…これ俺の二枚なんだけど?」
「へっ…」
あたしの分を買ってくれたとかではなくて?
「えっ、あれ。うそ。ゴメンナサイ」
チケットを買うため、販売されているトコロを見る。
ほかのひとが並んでいて、また後ろから並びなおさなければいけない。
「買ってきます…」
伸先輩に背をむけた。
伸先輩が後ろ向きに進んだ、あたしの手をつかんだ。
「しょーがねぇからチケットやるよ」
早く入ろうぜ、とあたしを後ろ向きのまま引っ張った。
それを見ていた梓先輩が深いため息をついた。