恋愛偏差値$完
映画館の中の暗い空間。
座った順番はあたし・伸先輩・梓先輩。
伸先輩はポップコーンまで買って来てくれた。
いいですっ、って断ったのに。
『伸の家は金持ちだから』
って、梓先輩が。
伸先輩ってお金持ちだったんだ。
忘れるんだよね。
梓先輩もちゃっかりおごってもらってるし。
『ありがとうございます』
って受け取ったら、うれしそうな顔で笑うんだもん。
めずらしい笑顔。
この笑顔を見れたからいいかなー…なんて。
「あ…」
映画を見ながらポップコーンに手を伸ばしたら、伸先輩も食べようと思ったらしく手と手がぶつかった。
映画館でよくあるベタシーン。
本当にあるんだな。
「ごめんなさい…」
顔が赤くなった。
映画館って暗くてよかった。