恋愛偏差値$完
「映画おもしろかったねー」
梓先輩がそんなこと言うけど、手と手がぶつかったせいであまり内容は覚えてない。
それほど、緊張してたってこと。
映画館からは適当に歩いている。
どこに行くかは、不明。
と、横に停まったのは高級車。
あたしたちは話してて気づかなかった。
「え?」
巧妙な手口。
伸先輩が細い道を通るため、あたしより先に通ろうとしたところ。
あたしは伸先輩の背中について行く途中。
だれかがあたしの口と腕をつかんだ。
伸先輩が振り向いて、ことの事態に気づく。
あたしはあの高級車に乗せられた。
「伸!誘拐だよっ」
「は?あれって…」
あたしは車の中から、ひとごみの中の伸先輩と梓先輩を見ていた。
先輩たちが遠くなっていく。
あたしの意識も遠くなっていった。