恋愛偏差値$完
「伸!誘拐だよっ」
「は?あれって…」
柚菜が誘拐された。
梓に言われてふりむいたら、柚菜がちょうど車に乗せられたトコロ。
体が動かなかったのは、余裕があったから。
あの高級車は俺んちの車。
てことは…俺の家のだれかが柚菜を誘拐したってことになる。
「梓!このことは秘密な!」
「どうして?!あっ…もしかして?」
梓の言葉を聞き終えないうちに俺はもう走りだしていた。
梓はきっと気づいてくれるだろう。
だからこのことを誰にも言わないはずだ。
って、ゆーか…だれがなんのために柚菜を誘拐したんだよ…。
俺は走る。
家の車を呼ぼうとしたけど、信用できない。
久穏家のせいで柚菜を巻き込んでしまったなら、俺は家を捨ててもかまわないと思っている。