恋愛偏差値$完
ちなみに、『頭おかしくなったのかよ!』は大マジメなコメント。
「わ…先輩、ちょっと」
柚菜は俺の体をはなした。
もう少し、柚菜のぬくもりと抱き心地に触れていたかったのに。
「先輩、あたしのこと助けに来てくれてありがとうございます。それで、ですけど。あの…」
「あたり前だろ…。お前がさらわれたんなら、奪い返すまでどこにだっておいかける」
恥ずかしいセリフを言った。
柚菜が赤くなる。俺まで赤くなった。
二人の世界に入っていたのに、ゴホンと咳払いがして、柚菜と二人、後ろを振り返った。
やべ…親父のこと、すっかり忘れててこんなことしてた。
柚菜の雰囲気のせいで、親父に対する怒りが吹き飛んでしまうところだった。
「は…」
なのに。
親父はにっこりした顔でプラカードを持っている。
さっきまでの威厳たっぷりの顔はどこ行った…。
「まって。先輩、ちゃんとアレ、見てみて!」
にぶいなぁ、とか言いながら柚菜はプラカードを指差した。
なんでお前、さっきまでさらわれてた相手がいるのに、そんな顔できんだよ…。