恋愛偏差値$完
ぱこんと携帯を閉めて、あたしは三年生の教室に向かう。
あ。と思い出して、歩きながら、受信ボックスの中の伸先輩からのメールを見た。
起動するのが遅いこの携帯でメールを開けたのは三年生の教室についてから。
伸先輩と梓先輩の姿を目にしたとき。
『まだ柚菜ちゃんに言ってないの?転校のこと』
『ん……』
メールの内容は『ドコにも行かねぇし(^O^)ノシ』だった。
「あのっ」
あたしはたまらず教室のドアを開けてしまう。
「柚菜…?」
「柚菜ちゃん」
きっとあせってるよね。
伸先輩、うそついて行こうとしてるんだもん。
あたしに、うそついて。
「ええと。あの…伸先輩。うそついてまであたしに気をつかわなくてもいいですよ。あたし、伸先輩といて、相談とかしてきて、ほかのひとよりは信用とか、あるのだと思ってました。けど…」
伸先輩とあたしの距離が近づいたってのは気のせいだったんだ。
伸先輩があたしに近づいたのは、気まぐれだったんだ。
「柚菜っ」
伸先輩があたしの腕をつかんだ。
「あたしって、鈍感で。ひとがどう思ってるのとか気づきにくくて。それで、あの」