恋愛偏差値$完
あたしは顔を上げた。
伸先輩があたしを見ている。
けど目が潤んではっきりと見えない。
伸先輩があたしとのつながりの腕をはなした。
言わなきゃ。
最後の言葉。
どんなに嫌われてても、言わなきゃ。
「気づかなくて、ごめんなさい。今まで……ありがとうございました」
なるべく笑って、おじぎをした。
伸先輩は否定してくれなかった。
うそついてた。
追いかけてきてくれなかった。
今までのあの笑顔で、あたしはもう十分だよ。
あたしは、その日一人で帰った。
その夜は泣いた。
伸先輩のアドレスも消した。
こんなに好きになって、こんなに苦しい想いするんなら、恋なんてするんじゃなかった。
ずっと、梓先輩を見てればよかった。