恋愛偏差値$完



伸先輩と話さなかったのはほんの少しなのにとても長い時間に感じた。



「伸先輩っ。ええと。さようなら……」


震えてなかったよね?


泣いてなかったよね?


いつもどおりだったよね?




あきらめたくないのに、聞きたいことはたくさんあるのに、『さようなら』しか言えなかった。




お別れの言葉しか言えなかった。




逃げるように会場の中に入ると、部活とは違うみんなの顔。



私服だからずいぶん違う。




いくつも用意されているテーブルには料理がたくさんあって、バイキング形式になっていた。


カラオケ…なんだろうけど、ホテルって感じだった。




「柚菜ちゃん。じゃぁ、これでみんなそろったんだね」



梓先輩の私服。


前よりセンスがよくなってる気がする。




「入り口の前に伸いたと思うんだけど。…なにか話した?」



「なにか…別れのあいさつをしてきました……」

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