恋愛偏差値$完
梓先輩の鋭い目をちゃんと見ることができずにあたしはうつむく。
だって、あたしと伸先輩のこと心配してくれてるもん。
うれしいけど。今は苦しい。
「今日で伸最後だよ」
「え…」
「伸行っちゃうよ。柚菜ちゃんはいいの?なん年か前に柚菜ちゃんを助けてくれた伸をあきらめていいの?」
なん年か前にあたしを助けた…
そんなことないよ。
あたしが、元カレの男友達から助けてくれたのは梓先輩で…
「それ、僕じゃないよ。柚菜ちゃんは大切なことを忘れてる」
大切なこと……?
助けてもらったときに見たのは、真っ黒な髪の毛とあのキラキラ笑顔。
あれ。
あのキラキラ笑顔は梓先輩のものだった?
真っ黒な髪は染める前…?
ええと。あれは伸先輩…
梓先輩ってのは間違いで、助けてくれたのは伸先輩?
あたしは伸先輩と前から会ってた……