恋愛偏差値$完
真っ暗な世界で風が変わった。
ガチャンって音と足音。
梓先輩の気配が遠ざかって、あたしは目を開ける。
なにが起こるの?
だれもいない。
ここは部室…?
あたしが座っている柔らかいものはサッカー部の仮眠用のフトン。
「なんだぁこりゃぁ~~~!」
あたしは思わず叫んでしまった。
さっきまで駅前カラオケにいたのに、今は学校の部室の中。
「梓先輩はなんだっ…伸先輩は……追いかけてもくれないっ」
ペタンと座りこんで涙を流す。
今日で最後なのに?
明日しかチャンスはないのに。
「伸先輩っ……」
ここにはだれもいないから。
一人だからどんなに泣いても叫んでも、休日の学校だもん。