恋愛偏差値$完


むっ。



思わず聞き耳を立ててしまうあたし。




伸のファンに混ざる。




『伸が帰ってきてから会ったの~?』


『会ってないっしょ。相手にされてないんじゃん~』



きゃはは。と笑うファンの一部。




会ったよ。


相手にされてないわけじゃない。


成長しすぎた伸にあたしが追いつけなかったの。


あたしが悪いの。


そんなこと言わないで。





『伸ノリよくなったし。あの女捨てられたんじゃない?』




「す、捨てられてないっ!」



伸を囲む黄色い声たちはなくなってて、シーンとあたしに視線が集まっていた。



輪の中の伸もあたしを見ている。




嫌……


そんなふうに、あたしを見ないで。


< 270 / 371 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop