恋愛偏差値$完
むっ。
思わず聞き耳を立ててしまうあたし。
伸のファンに混ざる。
『伸が帰ってきてから会ったの~?』
『会ってないっしょ。相手にされてないんじゃん~』
きゃはは。と笑うファンの一部。
会ったよ。
相手にされてないわけじゃない。
成長しすぎた伸にあたしが追いつけなかったの。
あたしが悪いの。
そんなこと言わないで。
『伸ノリよくなったし。あの女捨てられたんじゃない?』
「す、捨てられてないっ!」
伸を囲む黄色い声たちはなくなってて、シーンとあたしに視線が集まっていた。
輪の中の伸もあたしを見ている。
嫌……
そんなふうに、あたしを見ないで。