恋愛偏差値$完
『きゃあ?』
いくらばれないようにったって、これはやばいかも。
押し倒すような体勢で、小さな体をだきしめる。
伸はもう行ってしまった。
柚菜ちゃんを抱きしめる理由なんてもうない。
『ええと…先輩?』
柚菜ちゃんだって気づいてる。
抱きしめているのは、俺の意志だってこと。
『柚菜ちゃん』
芝に手を置いて距離を少しはなす。
好き、は今言ってもだめだと思う。
俺は戦略家なんだ。
柚菜ちゃんは伸に気持ちが傾いてる。
柚菜ちゃんは気づいてないみたいだけど。
『俺、柚菜ちゃんのこと……始めは後輩だし、恋愛対象ってのはありえなかった。でも…今は』