恋愛偏差値$完
梓先輩ってけっこう怖いのかも。
なんて、新しい発見は置いといて。
先輩が戻ってきた。
顔が赤いまま、哀しそうな笑顔で。
「だめだったや。柚菜ちゃん、ありがとね…」
だめなのに"ありがとう"なの?
あたし、理香の気持ち知ってたんだよ?
叶わぬ恋だよ……?
「柚菜ちゃん、しかたないよ。俺からも、ありがとう…」
"ありがとう"って言われる筋合いあるのかなぁ。
そう言って、先輩は去っていった。
「…あいつもさ、タメか年上の方がよかったのに。だって、年下ってありえないじゃん。……俺、先行ってるね」
ポンとあたしの肩にぬくもりを残して梓先輩はどこかに行ってしまった。
どうにか、できなかったのかなぁ。
年下って、ありえないのかなぁ。
無力な自分が、とても悔しい。