恋愛偏差値$完
あたしのとなりに伸先輩が来た。
カシャン、て音が聞こえたから、フェンスに体重をかけているだろう。
「だから、お前は幼いんだよ」
落ちこんでいるあたしにはとても痛い言葉。
「うん…」
抵抗する力もない。
フェンスから暗くなったグラウンドを見た。
いつもどおり、ボールが転がっている。
「?!」
後ろから、あたしを抱え込むようにして伸びてきた手が頬に。
伸先輩に頬をつねられている。
「ッ!!」
声にならない声であたしは伸先輩に抵抗する。
「バーカ。お前がそんなに悩んでても、しかたねぇだろ」
ぱっと手をはなされるから、さらに痛い。
けれど、その手はあたしの目の位置に移った。