恋愛偏差値$完
ホールに入ると、留守中のはずの屋敷が飾り付けされていて、大きなスクリーンがあった。
「こんなもん、さっきはなかったつーの」
「え…」
手をつないだまま、あたしは本当に大きなスクリーンを見上げた。
そのスクリーンは、吹き抜けの3階からだいたい2階くらいまで掛かっていた。
いきなり、パッと、一点にライトが当たって、ある人物を照らしていた。
「お父さま?」
「親父」
留守じゃなかったっけ?
「柚菜ちゃん久しぶり~。会えてうれしいよ」
「あ、お久しぶりです。ええと?」
「最近の私の趣味は映像を撮ることなんだ」
お父さまを照らすライトが消えて、吹き抜けの明るい空間にカーテンがかけられて。
辺りは薄暗くなった。