恋愛偏差値$完
「伸、ここな」
顧問がとなりの席をぽんぽんと叩いた。
「チッ」
舌うちをして、素直に座った。
あたしは伸先輩のとなりに座った。
黙って、試合を見ている。
試合にまだ、出続けたかったんだろうな。
あたしの視線は梓先輩を追い続ける。
「……お前、最近どうしたの?」
「どうって?」
視線は変えないまま、話し続ける。
「梓に対する態度、おかしくね?」
「………うん。そうかも」
伸先輩がいないのに、そのぶん大変なはずなのに梓先輩の動きはすごいと思う。
「アレだろ。年下はありえない、てやつ」
「怖くなっちゃたの。ただ、それだけです」
好きなのは、変わりないから。
「お前、がんばれよ」