恋愛偏差値$完
手を引かれてきた先は、来たこともない場所。
薄暗いのに、ライトがあまりついていない。
「尋くん…?」
不安になって、さっきから黙っている尋くんを呼んだ。
「柚菜ちゃん、なにも怖くないからね」
尋くんの笑顔。
この間と変わらないはずなのに、怖いと思った。
「ここだよ」
止まったところは、大きな建物。
見上げると、ネオンの文字で『HOTEL』。
ホテル?!
ラブホ?!
「嫌っ!」
尋くんとあたしを繋いでいる手をはなそうとした。
「一日デートの約束じゃん」
尋くんの手からははなれることができなくて、尋くんに引き寄せられるあたし。
手にこめる力も強くなった気がした。
「はなして…!!」
手は痛いし、怖いし。
あたしは涙目だ。