恋愛偏差値$完
伸先輩と目を合わせることができなくて、どうしてもそらしてしまう。
「ホテルに連れて行かれそうだったんだぞ」
わかってる。
前と同じ。
どうしてあたしはだまされるのがじょうずなのかな……
「ごめんなさい。ありがとうございます…」
赤い顔を上げると、伸先輩は納得したような優しい顔。
あたしは謝るのに慣れていない。
「ん。もうだまされんなよ」
あたしの頭ポンって。
なぜか、落ちつくんだよなぁ。
「柚菜ちゃん、ジュース買ってきたよ。…って伸は?」
「あ…。えと、もう帰っちゃったみたい、です」
梓先輩の手には三つの缶コーヒー。
それを片手に持って、あたしに手を差し伸べた。
「帰ろ」
あたしたちは手を繋いで帰った。