恋愛偏差値$完
伸先輩が制服についた草をはらった。
「もうこいつには用なしだし。行こーかと思って。梓、俺になんの用?」
「杉山先生呼んでたよ。って」
杉山とはサッカー部の顧問である。
「ん。了解。こいつひまだと思うから、話聞いてやって」
じゃ、とスタスタと歩きだした。
これも伸先輩なりの優しさ。
「伸先輩、行っちゃった」
「あー…俺も行こうかな」
えっ。せっかく伸先輩が話すキッカケくれたのに!
向きを変えようとする梓先輩の制服のすそをつまんだ。
「え」
バランスをくずして、前に倒れてしまう。
あたしはきつく目をつぶった。
「だいじょうぶ?」
視線をあげると梓先輩のキラキラ笑顔のドアップが!
まぶしい。
しかも、あたしは梓先輩に抱きついて体の中。
「けがしちゃった…?」
いつまでも動かないあたしに声をかけた。