恋愛偏差値$完
梓先輩のこと?
本人ここにいるのになー
『そ?好きならさ、遠慮することないんじゃない?ま、がんばってね』
「柚菜ちゃん」
「はい?」
伸先輩たちの話に必死に耳を傾けていたけど、二人の声も同時に聞けないので、梓先輩を優先することにした。
「行こう」
「行こうって…だって」
「いいから」
腰をかがめた状態で手を引かれた。
『ん?』
伸先輩がガサガサと音がするのに気づいたのだろう。
「きゃあ?」
ガサガサという音はここで終わる。
『伸?どうしたの?』
『ん?なんでもない』
あたしたちは動きを止めた。
あたしは今、梓先輩に組み敷かれて抱きしめられている。