恋愛偏差値$完
「あ」
戻ってきた。
順位は変わらず、梓先輩・伸先輩の順番。
「がんばってー」
…あたしは、本当はどっちに勝ってほしいんだろう。
梓先輩は好きなひと、で。
伸先輩は同じ春組で。
………今、一瞬だけ伸先輩と目が合ったような。
ゴール直前。
一位は伸先輩。
ギリギリで伸先輩が梓先輩を追い越した。
一位の春組にはたくさんの得点。
梓先輩負けちゃったけど、まぁ春組だからいっか。
「あっ、おつかれさまです」
走り終わって、肩であらい息をしている伸先輩に声をかけた。
梓先輩はそのまままっすぐ、司会席に行っちゃったみたい。
「…柚菜」
「一位おめでとうございます」
「…梓に、一位とらせてやれなくてごめん。でも、俺が勝ちたかった」