恋愛偏差値$完
伸先輩はあたしに、なにを伝えたいの…?
まっすぐな瞳で見るから、言葉が見つかんないよ!
「梓との勝負に、負けたくない」
『えぇ…ごほんっ。女子のかたー準備をお願いします』
さっきまで走っていた梓先輩が司会に戻った。
走っていたからか、がらがらの声。
「…あ、あたり前じゃないですかっ!梓先輩は秋組で、あたしたちは春組ですもんっ。よかったですよ。ええっと、じゃぁ、がんばってきます!!」
背をむけたあたしに、伸先輩がポソリと
「…がんばれ」
って。
振り向きそうになったけど、振り向かなかった。
これから、走るのに。上位狙いたいのに。
伸先輩、これ以上あたしの心をみださないで………
スタートのピストルが鳴り響く。
走ってもいないのに、ヘンなドキドキの中、スタートした。