恋愛偏差値$完
理香ちゃん…大声で言いやがって。
なんだか伸先輩に悪いじゃない。
「俺ですいませんでしたね。…ホレ、柚菜行くぞ」
ぐいとあたしの手を引く。
そんな速く歩かれても~あたし足引きずってるし。
てゆか、理香にあんなふうに言われて伸先輩怒ってたり?
いきなり歩調がゆっくりになって、あたしは伸先輩の背中にぶつかる。
「ブヒっ」
ヘンな声をあげてしまった。
「お前ほんとに出れんの?」
あたしも、そこまでこだわる必要はないだろうし。
けがしたんだから競技になんて出なくてもいいだろうけどさ。
でも、唯一の体育だし。
「だいじょうぶです。ありがとうございます…」
あたし、"ありがとう"って言い慣れてないんだけど。
伸先輩をチラリズムすると微笑んでいる。
めずらしー…。
めずらしすぎて、じっと見つめてしまう。
「は?見んなよ」
あたしの頭をぐりっと回転させた。