恋愛偏差値$完
一瞬だけ、赤く見えなかった?
「は・や・く・し・ろ!」
……気のせいかな。
「はぁい…」
あたしはしぶしぶしゃがんで、伸先輩の持っていた足を結びつけた。
今思えば、男のひとと密着しなきゃいけないんだよね。
ペアだったひととは一度も練習してないんだけど。
伸先輩と、ね。
なぜだか、嫌だと思っていないあたしがいるんだ……。
伸先輩とは背丈が合うはずがないので、あたしは伸先輩の腰をおさえて、伸先輩はあたしの肩を組む。
けがした足は右足だから、右足をヒモで結んでいる。
あたしの足は伸先輩の足を支えにして、地面から少し浮いている。
痛いのは結び目だけ。