恋愛偏差値$完
なにげに優しいのは伸先輩。
もう少し優しさをオープンにすればいいのに。
「外側の足から、いちにいちにいちに、で」
「はいぃ」
あたしの右側の足は伸先輩が動かすようなものなので、痛くない。
「いちにいちにっ」
……けっこう速いかも。
「けっこういけんじゃん」
じゃぁ俺たちの番まで休憩しとこうぜ、と足を結んだまま、その場に座った。
第一走目がスタートする。
三学年合同の競技だ。
一年は風船ケツ割り。
二年は飴玉探し。
三年はひたすら走る。
あたしは伸先輩に合わせて、飴玉探しだ。
「あ。俺ら、二年のアンカーだから」
「は?!」
思わず声をあげてしまう。
「行くぞー」
スタート地点に向かった。