夢と現実

「私の事、好きなんでしょ」

 何も無い広い野原の片隅で、彼女は僕を押し倒し覆いかぶさった。亜麻色の綺麗な髪がゆらゆらと風に揺らされ、僕の頬を撫でている。

大きな瞳は零れそうなくらい開いており、その瞳は僕の僅かな表情の変化を見逃さないように、じっと見つめている。

 ピンク色の桜の花びらを思わせるその唇が、艶やかに微笑んでおり、僕はその唇から目を逸らすことが出来ずにいた。

「この広い世界のどこかにいる私を見つけて、そして捕まえて」

 彼女は覆いかぶさっていた上半身を、すっと起こすと馬乗りの格好になり、僕を見下ろしながらそう言った。

「必ず見つけるよ」

 僕が彼女にそう答えると、彼女は待っているわと僕へそう言うと優しく微笑んだ。

 そこで……僕は目が覚めた。
< 1 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop