夢と現実
それでも
十二月二十五日。
そう、リア充たちの一大イベントのクリスマス。
世間はクリスマス一色となりイルミネーションなどでとても煌びやかに色づき、恋人たちはの距離もいつもより一層近付いている。
僕の住んでいる田舎の町でさえ、クリスマスイルミネーションで飾った住宅が何件かあり、地元テレビの取材も来たりしていた。
しかし、冬休みを迎えている僕は誰からの誘いもなく、自分の部屋で冬休みの課題とゲームをして過ごして、ゲームに飽きれば榊原や清水とグループチャットを行いうといった、僕にとって冬休みの課題があるかないかだけで、普段の休日と変わった過ごし方はしていない。
ちなみに、家でクリスマスパーティーなどという洒落たことをする家庭でもなく、ただ普通の休日が過ぎていくだけだ。
だけど、ただゴロゴロしていてもしょうがないということもあり、一大決心をして出掛けることにした。
自転車に跨り、十分ほど走らせた先にあるコンビニ。
一大決心をして出かけた割には、自転車で十分のコンビニ。こんな寒空の下、自転車で出掛けること自体を褒めて欲しい。それに、風が思ったいた以上に冷たく、手袋をつけてこなかったことをかなり後悔している。
自転車をとめ急いでコンビニの中に入ると、いくつかのお菓子とホットのミルクティーを購入した。
コンビニから出ると、中学時代の友達とばったり遭遇し、ミルクティーで手を温め、ちびちびと飲みながら近況などの話しをした。
家に帰り早速購入したお菓子の封を開け、ぽりぽりと食べ始めるが、半分ほど食べた時点で飽きてしまい、袋を輪ゴムでしばると、テーブルの隅へと追いやった。
ゴロンと寝転び天井を眺めていると、暖房の暖かさと、昨晩、冬休みだからと夜更かししたせいもあって、ウトウトと眠たくなってきた。
薄れゆく意識のなか、もしかしたらアイに会えるのかなと期待している自分がいる。
「メリークリスマス」
アイは僕の顔を見ると、とびっきりの笑顔でそう言った。
僕は、彼女より先にその言葉を掛けようとしていたこともあり、「メ」の一文字を発する唇の形のまま、固まってしまった。
そんな、僕の姿を見た彼女は、僕の側に駆け寄ってきた。
「メリークリスマス」
僕の正面へと駆け寄ってきた彼女へ言葉をかけると、クスリと微笑み手を握った。
「ここは、何も変わらないから、クリスマスって感じがしないね」
手を握ったまま彼女の歩調に合わせ、ゆっくりとあるきだした。彼女は、ずっと空を眺めている。
ここはいつ来ても、どんな季節に来ても変わらず心地よい風が野原を駆け抜けていっている。季節でいうと、春。彼女にぴったりだと思う。
「でもクリスマスなのに、圭くんが来てくれたってことは、まだ君に彼女ができてないって事だよね」
「僕は、アイ以外は……」
「駄目よ、私はここでしか会えないんだよ。だから、君はきちんと現実の女の子を……」
「それでも……それでも、良いんだ」
僕は彼女が最後まで言葉をいう前に、遮るように被せていった。
彼女はとても悲しそうな表情をしている。僕は自分が、小さな子供が、欲しいおもちゃをねだるかのような我儘をいっていることはわかる。
それでも僕は現実の女の子よりも夢の中でしか会えない、この目の前にいる女の子が好きなんだ。
「また、アイを困らせちゃったな……」
そんな僕の手を、アイは俯いたまま、黙って握りしめてくれていた。
しばらく、そのまでいると、彼女は僕へ、そこに座るよう促した。僕は、彼女に従い、座ろうと屈んだ瞬間、彼女に押し倒された。
彼女は僕を押し倒し、覆いかぶさりながら、
「私の事、好きなんでしょ」
というと、今度は僕を見下ろすような格好になり、
「この広い世界のどこかにいる、私を見つけて、そして捕まえて」
僕にそう言った。
そう、リア充たちの一大イベントのクリスマス。
世間はクリスマス一色となりイルミネーションなどでとても煌びやかに色づき、恋人たちはの距離もいつもより一層近付いている。
僕の住んでいる田舎の町でさえ、クリスマスイルミネーションで飾った住宅が何件かあり、地元テレビの取材も来たりしていた。
しかし、冬休みを迎えている僕は誰からの誘いもなく、自分の部屋で冬休みの課題とゲームをして過ごして、ゲームに飽きれば榊原や清水とグループチャットを行いうといった、僕にとって冬休みの課題があるかないかだけで、普段の休日と変わった過ごし方はしていない。
ちなみに、家でクリスマスパーティーなどという洒落たことをする家庭でもなく、ただ普通の休日が過ぎていくだけだ。
だけど、ただゴロゴロしていてもしょうがないということもあり、一大決心をして出掛けることにした。
自転車に跨り、十分ほど走らせた先にあるコンビニ。
一大決心をして出かけた割には、自転車で十分のコンビニ。こんな寒空の下、自転車で出掛けること自体を褒めて欲しい。それに、風が思ったいた以上に冷たく、手袋をつけてこなかったことをかなり後悔している。
自転車をとめ急いでコンビニの中に入ると、いくつかのお菓子とホットのミルクティーを購入した。
コンビニから出ると、中学時代の友達とばったり遭遇し、ミルクティーで手を温め、ちびちびと飲みながら近況などの話しをした。
家に帰り早速購入したお菓子の封を開け、ぽりぽりと食べ始めるが、半分ほど食べた時点で飽きてしまい、袋を輪ゴムでしばると、テーブルの隅へと追いやった。
ゴロンと寝転び天井を眺めていると、暖房の暖かさと、昨晩、冬休みだからと夜更かししたせいもあって、ウトウトと眠たくなってきた。
薄れゆく意識のなか、もしかしたらアイに会えるのかなと期待している自分がいる。
「メリークリスマス」
アイは僕の顔を見ると、とびっきりの笑顔でそう言った。
僕は、彼女より先にその言葉を掛けようとしていたこともあり、「メ」の一文字を発する唇の形のまま、固まってしまった。
そんな、僕の姿を見た彼女は、僕の側に駆け寄ってきた。
「メリークリスマス」
僕の正面へと駆け寄ってきた彼女へ言葉をかけると、クスリと微笑み手を握った。
「ここは、何も変わらないから、クリスマスって感じがしないね」
手を握ったまま彼女の歩調に合わせ、ゆっくりとあるきだした。彼女は、ずっと空を眺めている。
ここはいつ来ても、どんな季節に来ても変わらず心地よい風が野原を駆け抜けていっている。季節でいうと、春。彼女にぴったりだと思う。
「でもクリスマスなのに、圭くんが来てくれたってことは、まだ君に彼女ができてないって事だよね」
「僕は、アイ以外は……」
「駄目よ、私はここでしか会えないんだよ。だから、君はきちんと現実の女の子を……」
「それでも……それでも、良いんだ」
僕は彼女が最後まで言葉をいう前に、遮るように被せていった。
彼女はとても悲しそうな表情をしている。僕は自分が、小さな子供が、欲しいおもちゃをねだるかのような我儘をいっていることはわかる。
それでも僕は現実の女の子よりも夢の中でしか会えない、この目の前にいる女の子が好きなんだ。
「また、アイを困らせちゃったな……」
そんな僕の手を、アイは俯いたまま、黙って握りしめてくれていた。
しばらく、そのまでいると、彼女は僕へ、そこに座るよう促した。僕は、彼女に従い、座ろうと屈んだ瞬間、彼女に押し倒された。
彼女は僕を押し倒し、覆いかぶさりながら、
「私の事、好きなんでしょ」
というと、今度は僕を見下ろすような格好になり、
「この広い世界のどこかにいる、私を見つけて、そして捕まえて」
僕にそう言った。