秘する君は、まことしやかに見紛いの恋を拒む。
「飛翠ちゃん、今日ずっとどこか上の空だったから。顔色も良くないし、もしかして体調が良くないんじゃない?」
それとも、何かあった?
まるで瞳の奥でそう尋ねるように微笑まれ、思わず鼻の奥がツンとして泣きそうになった。
答えは後者だ。完全なる私情で…仕事中だというのに私は。
その訳を尋ねられた訳でもないのに、思わず店長に溢したくなってしまう。
遠距離恋愛中の婚約者と二週間前から急に連絡が取れなくなったんです。電話をかけても繋がらないんです。ついに交際記念日だった昨日も連絡が返ってくる事はなくて落ち込んでいましただなんて。
「この時間からお客さんが来る事は少ないし、店の事なら……あらまぁ、飛翠ちゃん」
そんな店長の言葉の聞いて初めて自分の頬に涙が流れている事に気がつく。
(嫌だ、仕事中に職場で泣くなんて…こんな恥ずかしい事って無い)
必死に涙を止めようと服の袖で涙を拭った時。
ガラっと店のドアが開く音がして、思わず身体がビクッと跳ねた。店長の言葉通り、この時間からこのお店に来るお客さんが来る事なんてほとんどない。
こんな時に限ってどうしようと焦りながらその顔を上げた時だった。
「……っ」
思わず息を呑んで──…そして、大きく目を見張った。
それとも、何かあった?
まるで瞳の奥でそう尋ねるように微笑まれ、思わず鼻の奥がツンとして泣きそうになった。
答えは後者だ。完全なる私情で…仕事中だというのに私は。
その訳を尋ねられた訳でもないのに、思わず店長に溢したくなってしまう。
遠距離恋愛中の婚約者と二週間前から急に連絡が取れなくなったんです。電話をかけても繋がらないんです。ついに交際記念日だった昨日も連絡が返ってくる事はなくて落ち込んでいましただなんて。
「この時間からお客さんが来る事は少ないし、店の事なら……あらまぁ、飛翠ちゃん」
そんな店長の言葉の聞いて初めて自分の頬に涙が流れている事に気がつく。
(嫌だ、仕事中に職場で泣くなんて…こんな恥ずかしい事って無い)
必死に涙を止めようと服の袖で涙を拭った時。
ガラっと店のドアが開く音がして、思わず身体がビクッと跳ねた。店長の言葉通り、この時間からこのお店に来るお客さんが来る事なんてほとんどない。
こんな時に限ってどうしようと焦りながらその顔を上げた時だった。
「……っ」
思わず息を呑んで──…そして、大きく目を見張った。