秘する君は、まことしやかに見紛いの恋を拒む。

──でも、とても信じられない。
高人さんが亡くなったなんて、そんな。



「・・・飛翠ちゃんっ」

そんな店長の小さな悲鳴を聞いて、自分が床にガクッと崩れ落ちた事に気がつく。

身体に力が入らない。起き上がる気力も、高人さんの弟だという秋世さんの言葉を受け止める事も出来ない。

そうしてただぼうっとして座り込む私に、秋世さんが手を差し伸べた。

「一緒に東京へ来て貰えますか?兄はきっと、誰より貴方に供養して欲しい筈です」

(・・・供養・・・?)

そんな秋世さんの言葉に頷いて、差し伸べられたその手をとる事は出来なかった。その手をとれば、秋世さんの言葉を受け止める事になる。

だって、とても信じられないのにそんな事。高人さんがもう何処にもいないだなんて。

もうどうしたって、どんなに待ったって高人さんに会えないだんてそんな事、そんな、

───嫌・・・!



「・・・・・・嘘っ」




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