マスク男の秘密
新刊本の半分以上を棚に入れた頃だった。足元から小刻みに揺れが伝わってきた。「これはもしや…」と思った瞬間、急に大きな揺れが襲ってきた。
「地震!?」
咄嗟にその場に頭を抱えてうずくまると、ドサドサと本が床に落ちる音が聞こえてきた。揺れはひどく長いものに感じた。静けさが訪れる。目を開けると、せっかく入れた新刊本が床一面に散らばっていてひどい有様なのに、私の体に本の直撃はなかったようだ。
「大丈夫?」
耳元で声がした。目を開けると、彼が私のうずくまる私を後ろから抱くようにして守ってくれていた。
「わあぁあ!?」
あまりの距離の近さに大声を出してしまった。
「あ、ご、ごめん、他意はないよ」
「ううん、ありがとう。びっくりしただけ。大丈夫」
本の直撃を免れたのは彼のおかげだったらしい。
落ちてきた本のせいか、彼の眼鏡はずれ、マスクの片耳の紐が切れて彼の顔が口元まで見えていた。
すると、蛍光灯がチカチカ点滅したかと思うと突然明かりが消えた。まだ外は薄明るいのでぼんやりと物の輪郭ぐらいは分かるが、地震のあとの停電は少し怖い。
「地震!?」
咄嗟にその場に頭を抱えてうずくまると、ドサドサと本が床に落ちる音が聞こえてきた。揺れはひどく長いものに感じた。静けさが訪れる。目を開けると、せっかく入れた新刊本が床一面に散らばっていてひどい有様なのに、私の体に本の直撃はなかったようだ。
「大丈夫?」
耳元で声がした。目を開けると、彼が私のうずくまる私を後ろから抱くようにして守ってくれていた。
「わあぁあ!?」
あまりの距離の近さに大声を出してしまった。
「あ、ご、ごめん、他意はないよ」
「ううん、ありがとう。びっくりしただけ。大丈夫」
本の直撃を免れたのは彼のおかげだったらしい。
落ちてきた本のせいか、彼の眼鏡はずれ、マスクの片耳の紐が切れて彼の顔が口元まで見えていた。
すると、蛍光灯がチカチカ点滅したかと思うと突然明かりが消えた。まだ外は薄明るいのでぼんやりと物の輪郭ぐらいは分かるが、地震のあとの停電は少し怖い。