マイナス余命1日 ※修正版
帝東学園は、入試でさえそんな倍率だ。
まして転入ともなれば条件はより厳しい。
一体、どんな裏工作をしたのか、と誰もが1度は疑った。
だがしかし、その理由は転入生の名前を聞いた時に、誰もがすぐに察した。

「悠木 清」という名は、日本人なら一度は目にした事がある。
IQ250のスーパーキッズとして幼少の頃からテレビ番組で特集を組まれる程だ。
あえて賄賂があったというならば、その正体は何億人に一人と生まれない、超天才的な頭脳。

私が知っているのは、一冊の本を数秒で暗記するというもの。
受験期間中にその特集を見たことがあった。

(彼の頭が私にもあったら、きっと人生はイージーモードだったろう……)

などと、何度も虚しく想像した。
この学校の生徒は、幼少期から英才教育を積み上げた、教養に優れた連中のはず。
その中でも、奴はグレードが高すぎる。
ちなみに家柄も最高級。
彼の祖父は世界の長者番付のトップテンに毎年必ず名前があがるとか。
そんな奴は、ギフテッドとして認定され、人生の大部分をアメリカの特別学校で教育を受けたらしい。

普通なら、お近づきにすらなれないような存在のはず。
そんな私が、何故奴に存在を認識されなくてはいけなかったのだろう……。

(私の苗字が矢部でなければ……)

新学期早々の出席番号順で決められる席で、私は宇宙人の中の宇宙人と隣同士という苦痛を味わう羽目になった。
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