マイナス余命1日 ※修正版
(……キューピー……だと?)

私は、瞬時に思い出した。
手足はぽっちゃり、お胸よりお腹がぽっこり出ている、あのお子ちゃま体型の事を。

「父さんに無理やりこの学校に転校させられて、正直乗り気じゃなかったんだけど……」

そう言うと、奴は私の頭に原書を乗せて、ニヤリと口を歪めた。

「君みたいな子と過ごせるなら、人生そう捨てたもんじゃないかもね」

と、人の腹をささっと撫で逃げしやがった。
小学校で受けたストレスのせいでぽちゃっとした事を気にし始めていた私にとって、最大の爆弾を初対面で見事に投げつけてきたのだ。

(何アイツ……)

そんな奴との2度目の対面は、新しい教室の、新しい担任による、初ホームルームにて。

「彼が転校生の……」

と、黒板に名前を書いてまで紹介された時には、第一印象のキューピー事件によって、好感度バロメータはミーハー判定の60%弱から一気に0を振り切り-100になっていた。
 
そんな彼と私が恋人になるなど。
ここから始まる……主に私が発していたのだが……殺伐とした空気感をハラハラしながら高みの見物をしていた、温室育ちのエリートクラスメイトは夢にも思わなかったのだろう。
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