マイナス余命1日 ※修正版
いつもと同じように倉庫へと向かう。
二人でエレベーターに乗るのも、自然の流れとして板についてきた。
こっそり奴が持ち込んだ、日本製の座り心地が最高なソファに二人で腰かけながら本を読む事で、先ほどのストレスを消し去る。
ストレスの元だったはずの人間の横で、ストレスが消えていくのを感じるという、摩訶不思議な感覚を体験した。
気分が良くなったので、

「世界で2番目に、好きになったかも」

と言ってみた。すると、子犬のように喜んだ顔を見せながら

「世界で1番の人間が誰かを聞くまで帰さない」

背後から肋骨が折れてしまうんじゃないかと思う程抱き付かれた。

「世界で1番って言わせて見せるから」

と自信たっぷりに言われた時には、心の中でどこまでできるかお手並み拝見と言えるようになった。
私と奴の関係がどこまで進んでいけるのか、私は楽しみになっていた。
タイムリミットが迫ってはいたけれど。
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