マイナス余命1日 ※修正版
背後から、もう聞くはずがないと思っていた声が聞こえた。
同時に、背中越しに彼の体温が伝わる。
裸の胸板からダイレクトに熱が伝わる。
どんな時でも穏やかだった彼の心臓が、私の心臓を無理やり叩き起こすかのように、激しく打たれているのが分かる。
「どうして……」
「僕が、気づかなかったと本気で思ったの?」
「え?」
奴は自分のポケットに手を入れて、あるべき場所にあったはずの私の薬を見せた。
「どうして……」
「雪穂ちゃん、絶対に僕にはこういうの教えないの、僕知ってるからさ。伊達に5か月近く片思いしてないよ」
「5ヶ月って……私達、出会ったの今年の4月で」
「だから、初めて会った時から好きだったの。何度言わせれば気が済むの?」
こんな怒りに満ちた声も表情も、初めて見た。
「私達付き合ってたのは3ヶ月だから……5ヶ月は計算が合わないよ」
「今日までずっと僕の片思い。ひとり相撲。そういうことでしょ?」
「何でそんな事……」
「だって、初めから別れるつもりだったんでしょ?僕の事利用するだけ利用して、捨てるつもりだったんでしょう?」
天才というのは、そんなことまで分かってしまうのか、と私は絶句した。
「どうして僕を頼ろうとしてくれなかったの?そんなに僕って頼りない?」
怒りのせいで低くなっていく声と反比例に、彼の口から発せられる言葉は甘えっこモードだ。
何を考えてるのか普段も読み取る事は難しかったけど、今日は底なし沼の底の位置を確認する事くらい、奴の真意を測れない。
「そ、そういう訳じゃ……」
「じゃあどうして」
矢継ぎ早に責められたことで、私にもとうとう我慢の限界が来てしまった。
「ねえ……それを言わせる!?未来のある人間が、この私に!?」
「言えよ!!」
即答された。
力強く。
「全部。聞いてあげる」
「分かったよ!聞かせてあげるよ、全部!!!」
同時に、背中越しに彼の体温が伝わる。
裸の胸板からダイレクトに熱が伝わる。
どんな時でも穏やかだった彼の心臓が、私の心臓を無理やり叩き起こすかのように、激しく打たれているのが分かる。
「どうして……」
「僕が、気づかなかったと本気で思ったの?」
「え?」
奴は自分のポケットに手を入れて、あるべき場所にあったはずの私の薬を見せた。
「どうして……」
「雪穂ちゃん、絶対に僕にはこういうの教えないの、僕知ってるからさ。伊達に5か月近く片思いしてないよ」
「5ヶ月って……私達、出会ったの今年の4月で」
「だから、初めて会った時から好きだったの。何度言わせれば気が済むの?」
こんな怒りに満ちた声も表情も、初めて見た。
「私達付き合ってたのは3ヶ月だから……5ヶ月は計算が合わないよ」
「今日までずっと僕の片思い。ひとり相撲。そういうことでしょ?」
「何でそんな事……」
「だって、初めから別れるつもりだったんでしょ?僕の事利用するだけ利用して、捨てるつもりだったんでしょう?」
天才というのは、そんなことまで分かってしまうのか、と私は絶句した。
「どうして僕を頼ろうとしてくれなかったの?そんなに僕って頼りない?」
怒りのせいで低くなっていく声と反比例に、彼の口から発せられる言葉は甘えっこモードだ。
何を考えてるのか普段も読み取る事は難しかったけど、今日は底なし沼の底の位置を確認する事くらい、奴の真意を測れない。
「そ、そういう訳じゃ……」
「じゃあどうして」
矢継ぎ早に責められたことで、私にもとうとう我慢の限界が来てしまった。
「ねえ……それを言わせる!?未来のある人間が、この私に!?」
「言えよ!!」
即答された。
力強く。
「全部。聞いてあげる」
「分かったよ!聞かせてあげるよ、全部!!!」