マイナス余命1日 ※修正版
どんな方法を使ったのかは、家主として非常に気になる。
何をどうすれば、10分足らずで家を突き止めるだけでなく、ここまでたどりついてしまうのだろうかか。
が、そんなことを気にしている場合でもなかった。

「大丈夫!?」

久しぶりに大声で突っ込んだ為、急に目眩に襲われてしまったから。
彼の手にあった鉢は、あっという間にアパートに併設されていた、ベニヤ板で作られた靴箱の家に置かれた。

(あー不覚)

こんなところで倒れるのは、私の予定に無かった。
彼の、整った鼻筋が良く分かる位置から彼を見る。
心配そうに私を見ながら、その目の奥がどこか楽しそうに華やいでいるのが見える。
抱き留める位置にあった手は、いつしか私の腰を抱える形になり、彼の体温がダイレクトに伝わる。

(人の気も知らないで、幸せそうな顔するんじゃないよ、バカ)

彼が履く高級なローファーを踏みつけてみても、私が裸足だったので意味が無い……どころかむしろ、自分の足の裏を汚してしまった。
それに気づいた奴は

「そんなことしても、効果ないよ」

と言いながら、子供を慰めるかのように頭を撫でてきた。
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