地味男はイケメン元総長~番外編集~
 さくらさんを見ると、何だか固まっていた。

 かと思ったらハッとして、ソロソロと俺を見上げて来る。

 視線が合うと、サッと逸らされて今度は早口で話し始めた。


「あ、えっと。ごめんね? お母さん何だか勘違いしちゃったみたいで。司くんとあたしが付き合ってると思っちゃったみたい」

 そんな事無いのにね……と、悲し気に伏せるまつ毛を見た途端、俺は決めた。


「さくらさん、ちょっと来て」

 そう言って彼女の手を取り引っ張っていく。

 ちょっと強引だけれど、人気のない静かなところに行きたかった。


「え? 司くん!?」

 驚いているけれど、さくらさんはちゃんとついて来てくれている。


 文化祭中なのでどこへ行っても人がいる。

 散々歩かせてしまったけれど、校舎裏の方にある非常階段の下で俺はやっと足を止めた。
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