地味男はイケメン元総長～番外編集～

　すると明らかにパァッと、まるで雨雲の隙間から太陽が見えた時の様にキラキラと明るい顔になる明川。

「じゃあこれからは早和って呼ぶよ？　にしても、沙良と早和って似てるねー」

　その笑顔と、ためらいもなく俺の名前を口にする様子に面食らって俺はすぐにまともな対応が出来なかった。


「お、おう」

　そう返事をするのがやっと。

　すると俺をじっと見て何かを待つ姿勢を取る明川。

　何だ？　と思っていると。


「ほら、早和もあたしの名前呼んでみてよ」

「え？　あ、ああ」

　子供みたいに無邪気にそう言う明川に、戸惑いつつも従った。


「えっと、沙良？」

　呼んだ途端、子供みたいな無邪気な笑顔が花開くようにふわりと変わった。

「うん」

　嬉しそうに目を細め、優しそうな微笑みは口角が少し上がる程度。

　初めて見る、沙良の少女としての顔。


　ドクンと、心臓が跳ねた。


　それが、俺が初めて沙良を女と認識した瞬間だった。