地味男はイケメン元総長~番外編集~
 ヘラヘラと掴みどころのない人だと思っていた。

 本当に暴走族のNO.2とかやってたのか? って思うくらい怖い感じもしなくて……。


 でも、今の杉沢さんは純粋に怖かった。


 好物の獲物を見つけた、蛇の様な目。
 絶対に逃がさないとでも言うかのように、その視線が田中に巻き付いて行くように見えて……。


「っ! 田中! やっぱり俺と付き合おう!」

 とっさにそう声を上げていた。


「は? 工藤、あんたあたしの話聞いてた?」

「だからこそだよ! お前の夢応援するし、守ってやるから!」

「意味わかんないんだけど……」


 外を見ていた田中は杉沢さんの視線に気が付かなかったみたいで、俺の意図は全く読めていない。

 杉沢さんもさっきの怖い視線を隠してヘラヘラしていたので尚更分かる訳もない。


 でも、大事な友達が蛇に丸のみされそうなのを黙って見ている訳にも行かない。

 だから俺は付き合おう! と主張するしか出来なかった。
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