俺、あなたのリアコです!5
ピシャリと言い放つと、その場が一瞬だけ静かになる。つきのうさぎさんは「えっ、でも……」と言っているけど、俺は「帰って、今すぐに」とはっきり言った。

「琴葉ちゃんが過去に何があったなんて、俺は知らない。でも、どんな過去を持ってても関係ないから!俺が琴葉ちゃんのことが好きであることに変わらないから。警察を呼ばれたくなかったら帰って」

全部会話録音してるよ、と言うと舌打ちをしながらつきのうさぎさんは走っていく。それを見届け、俺は息を大きく吐いた。ひとまずこれで大丈夫だろう。

「琴葉ちゃん」

俺が振り返ると、琴葉ちゃんは涙を手で拭いながら声を押し殺しているところだった。

「……わ、私……あんなに、ひどいこと、言ったのに……助けて……くれて、ありがとうう……ございます……」

泣きながらそう言う琴葉ちゃんをただ守りたくて、自然と抱き締めていた。距離がゼロになる。互いの心音が伝わってきた。

「無理しなくていいよ、たくさん泣いて?」
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