俺、あなたのリアコです!5
好きな子の部屋にいるのが嬉しくて、琴葉ちゃんに笑いかける。すると、宙が二人ぶんの紅茶とクッキーを持って部屋に入ってくる。

「ありがとう、お兄ちゃん」

琴葉ちゃんが微笑んで紅茶を受け取った後、宙は俺をまっすぐ見つめて言う。

「ちゃんと琴葉のこと、受け止めてやってくれ。俺のたった一人の妹だから」

「どんな過去だって受け入れるよ」

宙をまっすぐ見つめ返す。大丈夫、覚悟はできてるから……。

「まあ、お前なら大丈夫だよな」

宙はフッと笑って部屋を出て行く。ドアが完全に閉まってから、琴葉ちゃんは少しずつ話し始めた。

「私の血のつながった両親は、世界的にも有名なピアニストなんです。両親は自分の子どももピアニストになって、いつか家族みんなで演奏会を開くのが夢で、私は幼い頃からピアノを練習させられていました」

でも、琴葉ちゃんはピアノを両親の望むように弾くことができなかった。そして、双子の弟妹が誕生してから、琴葉ちゃんは邪魔者扱いされるようになっていった。
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