俺、あなたのリアコです!5
「ピアノが弾けないんだから、そう言われて家事をさせられるようになりました。でも家事もうまくできなくて、一日中怒られる日々でした」

ピアノが弾けないため、両親は琴葉ちゃんに服などを買ってあげず、そのせいで琴葉ちゃんはいつもボロボロの服を着ていた。そのため、学校のクラスメートからいじめを受けていた。

「中学三年生の頃、両親からは「高校に行かずに働け」と言われました。私が「嫌だ」と言うと、暴力を振るわれました。でもその時、今のお父さんたちが「それならうちで引き取りたい」と言ってくれて……。今の私がいるんです」

暗いし重い話ですよね、と琴葉ちゃんは笑う。でもその顔は無理している顔だ。俺は琴葉ちゃんを気が付けば抱き締めていた。

「無理して笑わなくていいよ。琴葉ちゃん、よく頑張ったよ。抱え込まなくていいんだよ」

俺がそう言うと、服がジワリと温かくなっていく。琴葉ちゃんが俺の腕の中で泣いているからだ。
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