俺、あなたのリアコです!5
琴葉ちゃんは何も悪くない。一番悪いのは、ピアノを弾けないからという理由で虐待をしていた琴葉ちゃんの両親だ。琴葉ちゃんがいじめられる理由なんてない。

頭の中に、つきのうさぎさんが浮かぶ。彼女はずっと琴葉ちゃんをさっきみたいにいじめていたんだ。否、彼女だけじゃない。きっと俺のリスナーの中に琴葉ちゃんをいじめていた人は確実にいる。

彼女たちは今度のライブツアーに来るはずだ。そんなツイートを見かけたことがあるから。そんな人たちに、前を向いて歩き出した琴葉ちゃんの姿を見せてやりたい。

「ねえ、琴葉ちゃん」

琴葉ちゃんが泣き止んだ後、俺は琴葉ちゃんをまだ抱き締めたまま言った。

「俺のライブにさ、ゲストとして参加しない?琴葉ちゃんだけじゃなくて、WMCのみんなで」

「えっ……」

琴葉ちゃんは驚いた様子で俺を見つめる。そりゃあそうだ。何万人もの人が集まるドームで歌おうと誘ってるんだから。

「見返してやろうよ、いじめっ子たちをさ。琴葉ちゃんならきっとできるよ」
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