チビッ子な俺と気になるアイツ
 もうすぐ夏。俺はこの夏、人生が変わる。 154cm。もうすぐ20歳。そんな俺は女。体も女。見た目だけが男だ。

 ショートカットの茶髪。裾の長い黒いズボンに青いボーダーのシンプルなシャツ。
名前は河下 夏樹(かわした なつき)

 俺は生まれ持った子の体が嫌いだ。

 でも、恋するのはいつも男で。求められるのはいつも女の俺で。矛盾ばかりな人生。完璧な男に生まれたかった。

 18歳、就職に失敗した俺は生活保護で20歳になった今もなんとか暮らしている。

 俺の日課は晴れた日に土手を散歩することだった。

「あ、飛行機」

 指をカメラにして飛行機を追う。追いきれなくなってなんとなく歩き出す。
土手の下まで来ていた。

「祠.....?」

 今まで気になってなかった小さな祠には、小さな神社が立っていてその向こうに狐の地蔵がいた。
「とりあえず、今日もいいことありますように」

 手を合わせて顔を上げると、お稲荷様と目が合ったような妙な気分になる。早く帰ろうっと。


 
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