お見合い相手が変態御曹司でした
本編
1. お見合い相手が美形でした
「お見合い?」
「そうなの。『楓子ちゃんは二十三歳だから、まだ早い』って私は言ったんだけど、パパが話に乗り気なのよ」
ある日の夕食後、母から話があると言われ、改まって聞かされたのがお見合い話だった。
相手は『取引先の社長の息子さん』だそう。私はかなりドン引きしていた。
「何それ……政略結婚、みたいな?」
「それがね、お相手があなたに一目惚れしたんですって」
「はぁあ? どこで?!」
突拍子もない母の答えに私はうろたえた。
父が小さいながらも会社を経営してるとはいえ、私自身はなんの取り柄もない平凡な会社員。父の会社とは全く無縁の広告会社でデザインの仕事をしている。
下っ端なので、ひたすらマウスをカチカチさせて、広告モデルの女優さんのお肌から、毛穴を無くす作業をしているだけの日々。
残業続きで、どこぞの御曹司に出会う暇なんかない。
「それが……先方があなたを見初めたのって、新宿駅なんですって」
……全く、身に覚えがございません。
「そうなの。『楓子ちゃんは二十三歳だから、まだ早い』って私は言ったんだけど、パパが話に乗り気なのよ」
ある日の夕食後、母から話があると言われ、改まって聞かされたのがお見合い話だった。
相手は『取引先の社長の息子さん』だそう。私はかなりドン引きしていた。
「何それ……政略結婚、みたいな?」
「それがね、お相手があなたに一目惚れしたんですって」
「はぁあ? どこで?!」
突拍子もない母の答えに私はうろたえた。
父が小さいながらも会社を経営してるとはいえ、私自身はなんの取り柄もない平凡な会社員。父の会社とは全く無縁の広告会社でデザインの仕事をしている。
下っ端なので、ひたすらマウスをカチカチさせて、広告モデルの女優さんのお肌から、毛穴を無くす作業をしているだけの日々。
残業続きで、どこぞの御曹司に出会う暇なんかない。
「それが……先方があなたを見初めたのって、新宿駅なんですって」
……全く、身に覚えがございません。
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