お見合い相手が変態御曹司でした
「私は楓子ちゃんが好きだよ。本当に。どんな手段を使ってでも、手に入れたいと思うほど」
美麗な、真剣な顔で、柊平さんが言う。
その言葉に、私は心臓がとまりそうなくらいにときめいていた。
悔しい。
私は柊平さんが好きだ。もう、好きになってしまった。
「……わかりました。私が言うことを聞けばいいんですよね? 父の会社には絶対何もしないで!」
「楓子ちゃん、怒ってる?」
「当たり前です。こんな……」
悔しくて泣けてきた。物凄く腹が立っていたから、泣くもんかと思いながら柊平さんを睨み続けて言った。
「……こんな脅しみたいなことしなくったって、私は柊平さんが好きなのに」
私がそう言うと、柊平さんの顔から余裕の笑みが消えた。
そして、次に柊平さんが見せたのは、真っ赤になって照れている表情だった。
え? 予想外なんだけど……!?
か、可愛い……。
何だか私まで照れてきた。
「……楓子ちゃん、それ本当?」
「本当です。私も好きなんですよ、柊平さんのこと」
「すぐ、行こう……部屋、ここ、すぐ……」
珍しく動揺してる柊平さんがおかしいから、私は笑いながら言った。
「スイートなら行きます」
「安心して。コーナースイートだから」
そう言った柊平さんは艶然と笑った。
金持ちめ!