お見合い相手が変態御曹司でした
 初めて一緒に過ごしたあの夜、お風呂に入らせてもらってふかふかの上質なベッドに横になっていると、疲れていたのか私はそのまま眠ってしまった。

 翌朝起きて「親に無断で外泊してしまった!」と私は慌てた。
 私はいわゆる"箱入り娘"として育てられ、社会人になるまで外泊なんてしたこともなかったし、それが当たり前だった。男性と付き合ったこともなかった。

 もう未成年でもないし、残業で遅くなって深夜帯に帰り、親と顔を合わせることもなく早朝出て行く、なんて日もあったから、今更怒ったりはしないだろう。でも、柊平さんと一緒にいることはわかってるのだから、帰宅して両親に会うのが物凄く恥ずかしかった。


 私を家まで送ってくれた柊平さんが、玄関先で丁寧に挨拶をしてそのまま客間へあがり、改めて結婚の申し込みをしてくれたので、結納や結婚式の場所や時期等といった具体的な話がすすんでいった。私は現実味が無いまま、時折頷きながらそれを聞いていた。


 柊平さんが帰った後、「しばらく自分の部屋にいるから」と言って引きこもり、私は部屋のベッドの上で悶絶した。

 ついに彼氏が出来た!
 変態だけど……。

 柊平さん優しくてかっこよかった!!
 ド変態だったけど…………。

 そして結婚まで決まった!!!

 ……足と結婚したいのかもしれないが……。


 昨夜を思い出して枕や毛布をばふばふさせていると、母に呼ばれた。
 怒られるのかな、とちょっと怖かったが、二階にある自室からリビングへおり、目に飛び込んで来たのが、この赤いブーゲンビリアだった。
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