ガチ恋
 謝罪を受けた真白は納得したかもしれないが、鋭くガンを向けてくるりゅうやに対して俺はどう接する事が正しい正解なのだろうかと悩むも、頭で考えるよりも体が反応していた。向けられた敵意剝き出しのりゅうやに対して俺は同じだけの敵意を自分の瞳に込めていた。内心、殺すぞこのちびゴリラと思いつつ。
 じりじりとお互いに近づき、緊迫した空気が流れはじめた矢先にりゅうやの奴が行動を起こした。その動作は一見頭を下げるように見えた。なんだ、謝罪をするのかと油断した俺のどてっぱらに対してりゅうやは渾身の一撃を食らわせてきたのだった。その拳は鋭く、とても的確に俺のみぞおちにクリティカルヒットして、俺は余りの激痛に悶絶し、その場で四つん這いになる。
 苦しみ息の出来ない俺に対して、「二股野郎が」と言い放ったりゅうやは逃げるように走り出した。
 絶対に許さないと思いつつも息の出来ない俺は四つん這いのままで逃げて行くりゅうやの背を見送ることしか出来ない。うずくまる俺を心配しながら真白ととうかは駆け寄って背中をさするも、二人の表情はどこか呆れたように見えたのだった。
 どこが悪い奴じゃないだ…………くそ野郎じゃないかと俺は弱々しく呟くのだった。
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