ガチ恋
 最悪だ。つい怒鳴ってしまった。無事だったんだから安堵したのに……また切れてしまった。真白が俺を見る目が……怯えていた。あの日の詩織が俺を見る目のようだった。急に体が震えだす。気持ち悪い。真白が心配そうに「大丈夫?」と声を掛けるも上手く聞き取れない。視界がぐるぐる回る。俺は両目を手のひらを当て、自分の部屋に戻る。フラフラとした足取り。ベッドに座った。この発作は少し時間が経てばおさまる。
 真白が部屋の前まできてドア越しに声を掛ける。
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